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大阪府建築士事務所協会 戸田和孝会長  【平成30年07月02日掲載】

社会貢献活動を積極PR

「中小設計事務所の視点」重視


 「会員の力添えをいただきながら、大役をこなしていきたい」とする就任の挨拶とともに、「協会に求められる本来の目的を達成するため、会を活性化し、会員を増やし、みんなの見える位置に立つことが大切と考えている」と抱負を述べる。

これは、会員が設計や監理業務を通して、社会に貢献できる環境づくりが、「協会の目的であり役割である」との考えがあり、そのためには、設計監理業務の重要性を広く理解してもらうことが必要で、「それを実現できるのは建築士法に規定された団体の役割だ」とする。

 その役割を果たすためには、協会自体が力を付けることで、力を付けるには、「協会として充実した活動を展開し、活性化して会員数を増やすことが不可欠」と語る。現状に関しては、自身が組織率の低さを感じているためで、「会員を増やすことで組織を強固なものにしたい」。

 会勢拡大については先頃、現在ある8つの支部に専任の担当者を置くとともに「会員増強プロジェクトチーム」を立ち上げた。会員増強の取組みには、「支部の力が必要」との考えからで、これまでの取組みでは、支部と本会との活動にコミュニケーションが不足していた部分があるとし、「PTを設置することで密接にコンタクトを取りながら検討を進めていく」との考えだ。

 課題としては、建築士法改正や資格制度の見直し等で中心的な役割を果たしているが、「それらの活動が知られていないこと」を挙げる。一般はもとより、建築に携わる者にも知られておらず、「設計監理業務の重要性を知ってもらう上でも、当協会がどこで、どのような社会貢献活動を行っているのかを、積極的にPRする必要がある」とし、そのPR力も課題の一つとした。

PR力の強化では、マスコミ等から取材に来てもらえるような事業展開とともに、「会員以外から広報活動に長じた人材を登用することも必要では」との考えを示し、また、これまで実施している児童画展等のイベント等についても、「内容をブラッシュアップして、より充実させ上手くPRして周知を徹底することも必要だろう」とする。

 一方、今後の活動にあたっては、会員の多数を占める「中小設計事務所の視点」を重視する意向とする。協会運営や事務所経営には、中長期的な経営の見通しを立て、そのためには今、どのような準備をすべきかといった視点が必要で、歴代会長はこれまで、大手組織事務所の代表者が歴任し、そういった視点に立つことができたが、「私のような中小事務所の経営は、業務と仕事を取ってくることに日々追われているため、中長期的な視点で見ることが難しい」ことから、「そういった部分を協会が補うような活動が必要だ」とした。

 具体的には、インスペクションや民泊事業が広まっていく中での建築事務所との関わり、万博やIR等が決まり関連工事等が動き出した場合、「中小事務所の仕事はどうなるか」といったことを挙げ、それらの視点は、中小事務所ではリサーチできず、「そういった部分を団体としてカバーし、備えるべき方向性を示すことができれば」とし、具体的な取組みは今後、委員会と議論していくが、「備え」をキーワードに、何らかの手助けができればと期待を示す。

 また、大阪府建築士会、JIA近畿、建築協会との四団体連携した活動については、「会長・支部長のコミュニケーションが非常に良い」ことから、継続するとともに、大阪の将来のまちづくりに関する提言の取りまとめに向け、各団体から4人ずつの若手会員で構成する集まりを立ち上げており、今年中にはたたき台を作成したい意向だ。

 さらに、「各支部の意見を吸い上げ、活動に反映させたい」との想いから今後は、支部長会議や各支部の役員会にも「極力、出席したい」とし、このほか、「若い人が参加しやすい雰囲気づくり」にも意欲を見せる。先程の若手メンバーを集めての提言書づくりもその流れの一つとしながら、「若い時期は、自分の仕事や自らの考え等を発信したい気持ちがある」と自身を振り返り、その一方で、そういった場がない(そういった場の敷居が高い)ことから、「それらを求めている人達をつなぐ敷居の低い場づくりも設けていきたい」。

 入会以来、第5支部の委員を振り出しに「あらゆる役に就いた」ことから、それぞれの部署での面白さや悩みは理解しているつもりで、このため、「支部会員とのコミュニケーションは取りやすいのでは」と期待を寄せる。

 協会活動で印象に残るのは、「大阪府住まい・まちづくり教育普及協議会」の活動を挙げる。その立ち上げメンバーとして、これまで100校、約7000人の児童に対して建築やまちづくりについて出前授業を実施している。

 趣味は、協会の同好会で水彩画をたしなみ、ギターやバンジョーの演奏も。モットーは、自らの経営哲学でもある「広く浅くより、狭く深く攻める」で、手広く展開するより、人と人とのつながり等を重視する姿勢が、「中小建築士事務所の営業の在り方の一つではないか」と語る。

 
 
戸田和孝(とだ・かずたか)
昭和55年3月東京大学文学部美術史学科卒、同57年3月東京大学人文科学系大学院修士課程修了、同年4月永和建設入社(設計担当)、同63年4月1級建築士事務所椛n建代表取締役、平成17年7月に潟gヤマビル・戸田企画設計1級建築士事務所に組織移行し、同8月に代表取締役。八尾市出身。62歳。


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