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大阪府都市整備部 村上毅部長  【平成25年01月28日掲載】

職員・行政・地域を「つなぐ」

予防保全、老朽化・耐震化対策に注力


 大阪府内における都市基盤整備を担当する大阪府都市整備部では、厳しい財政状況の中にあっても、創意工夫により維持管理をはじめとするインフラ整備に取り組み、また近年では、府民との協働による新たな取り組みも実施している。その陣頭に立つ村上毅部長は、職員や行政、地域を「つなぐ」をキーワードに、「関西が元気になるように」と事業推進に意欲を見せる。その村上部長に来年度の見通しなどを聞いた。

(渡辺真也)

■まずは、昨年を振り返って。

 「つなぐ」をキーワードに取り組みを進めました。IT社会になりメールでのやりとりが主流で会話が少なくなっていると感じます。これでは、お互いの意思が十分に伝わらない場合や、組織としての力や現場の力が十分、発揮できないことも起こりかねません。上司から中間管理職へ、そこから担当者へ、あるいは他の課同士の横のつながりを持つことが重要です。我々の仕事はインフラを整備するだけでは評価を得られず、施策と施策をつないだり、部局をつないだりすることが必要です。さらに「笑働OSAKA」という府民協働を展開しておりますが、これには行政と地域、事業をつなぐという意味もあります。

■その笑働OSAKAでの取り組みでは。

 昨年は、みどりの風関連事業や水都大阪フェス等を実施しました。水都の取り組みでは、官ではできないようなおしゃれなパンフレットを作成したり、舟でお店を回る大阪水辺バルを展開したり、多くの方々に参画いただき、行政だけではできないことが実現できました。また、クリーンサポーターとして、大学生らを中心にした清掃活動が実施されるなど、官民が連携して大阪を元気にする具体的な動きが出てきたように思います。

■事業関係では。

 新名神高速道路が4月に事業着手できたことは大きいと思います。現在の名神高速道路の老朽化が指摘される中、新たな国土軸が形成されることは、関西にとっては活性化につながることであり、大変意義のあることだと思います。また、大阪都市再生環状道路の淀川左岸線延伸部も動き出すのではと見ており、これらの動きを踏まえながら、我々としても府県間のつながりを強化したいと考えております。

■防災などの安全対策も重要性が増してきましたが。

 南海トラフ巨大地震による津波に関して、大阪府防災会議に専門家等からなる部会を設置し、府域における被害の詳細や、津波外力等の検討を早急に進めております。今後、これらの検討に基づく対策を講じていきます。従来は、主に活断層による直下型の地震を対象にしていましたが、海溝型の地震では、泉南地域の南部でこれまでの予測を超える外力が生じる可能性があることから、こうした分析を行った上で、必要な施設点検等を実施します。

■河川をはじめとする対策では。

 「今後の治水対策の進め方」に基づき、府が管理する河川について、その洪水リスクの開示を進めており、今年度中に全ての河川について完了する予定です。地域のリスクを府民の皆さんと共有し、必要な治水対策を進めます。昨年8月に発生したゲリラ豪雨のような突発的な集中豪雨への対策では、今年度も下水道増補幹線が1カ所完成し、地下河川への接続を行いました。寝屋川北部流域では46万立方b、南部流域では126万立方bの貯留能力を確保しました。引き続き、こうした施設整備を着実に実施していきます。

■来年度はやはり維持管理が中心になる。

 予防保全や老朽化対策は勿論、重要です。必要な予算を確保し、しっかりと取り組んでいきます。加えて、生命を守る取り組みが重要です。先程も言いましたが津波に対する防御、外力予測による点検の結果を踏まえ、必要な対策を施していきます。また、南部水みらいセンターで進めているメガソーラーについても拡大したいと思います。メガソーラーは、平時はもとより、災害時の非常用電源としても有効です。売電収益を維持管理費に充当するという仕組みで、南部水みらいセンターでは、今年の秋には完成、稼働する予定です。予算の関係もありますが、他の箇所でも実施していきたいと考えています。

■入札契約制度もいろいろと改善策が打ち出されました。

 入札契約制度に関しては、予定価格の事後公表の拡大やランク見直し等を実施しています。また、最低制限価格制度の対象範囲の拡大、低入札調査基準価格や失格基準価格の引き上げを行い、ダンピング対策についても取り組んできました。我々発注者と施工者は、現場における工夫や新たな技術導入など適切な現場マネジメントを行い、良好な都市インフラを形成する役割を担っています。最近は、専門工事等で熟練した技能者を確保することが難しくなってきているということも耳にします。発注者として、現場における技術の継承、技術力の確保のためにも、現場での重点的な施工体制の調査などを実施してまいります。我々の事業は、将来に引き継いでいく大事な資産をつくることですから、その点は効率性だけでなく、適正な価格で仕事ができるようにする必要があります。

■来年度に向けての抱負を。

 自分の仕事だけでなく、全体が上手くいくよう全体最適の視点で、組織で仕事を進めていく。地域の方々にも喜んでいただけるような笑働などの仕組みも活用し、公共空間はもとより、その周辺も活性化し、関西が一緒になって元気になれるようにがんばります。

■ありがとうございました。



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