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住友電設株式会社 磯部正人社長 会見  【平成26年01月23日掲載】

海外事業さらに競争力強化

組織の壁越えて施工力を確保


 住友電設鰍フ磯部正人社長はこのほど、大阪市西区の本社ビルで会見を行い、今年度の取り組みと来年度の見通しについて語った。今年度事業について磯部社長は、景気の回復基調を受け「順調に推移している」と語り、来年度に関しては、海外事業における既存分野での競争力強化等に努めながら、「今後も自社の強みを生かした事業展開を図っていきたい」と意欲を語った。

 今年度に関しては、公共・民間投資の回復を受け、「全般を通して上期、下期とも、ほぼ順調に進捗しており、決算に向け公表値を上回るよう努力していきたい」と見通しを語った。施設部門では、病院や学校、大型ロジステック、メガソーラーも順調であり、通信分野ではスマートホンの基地局等が伸びたことにより堅調であるとした。海外事業では、同社の拠点であるタイ、インドネシアでの投資が「順調に推移している」とした。

 来年度については、経済動向や消費税増税、為替、海外経済の動き、中韓関係など「不安定要素は多い」としながらも、「全般的にゆるやかな回復は持続するのでは」との見通しを述べる一方で、当面の課題として「急激な需要の伸びに対応する施工力確保、材料等のコストアップへの対応」を挙げた。

 また磯部社長は、年頭にあたり社員に対し、工事での安全と品質確保、コンプライアンス遵守の徹底、組織の壁を越えた部門間の連携、中期経営計画「ビジョン15」の先の課題の検討―の課題に対する取り組みを指示した。このうち、中期経営計画終了後については、施工力確保とともにエネルギー分野での対応や企業における情報通信のあり方など、「トレンドに対応した中期的な課題の検討」を要請。

 施工力の確保については、「早急に解決できるものではない」と述べ、採用増や社員教育による人材のレベルアップに努め、工事の波を読み、エリア間で人員の応援等を行うとしながら、今後は「労務不足の影響が出てくるのでは」と先行きを懸念し、受注面での慎重さが求められてくるとの見方を示した。

 また、電気工事のニーズには大きな変化はないとしながら、「エネルギー分野の重要性は依然として変わらず、特に環境や防災、省エネなどがキーワードになる」と分析。さらに省エネルギーに関しては現在、住友電工が手掛けている大型蓄電池や超電導の関連工事に参画しており、「今後もグエンジニアリング会社としての役割を果たしていきたい」と述べた。

 国内の設備投資動向については、当面は公共投資が持続するが、「問題は民間投資」と指摘しながら、先に上げた病院や学校のリニューアル案件が多く、近年ではネット通販の進展による物流施設など、「伸びる要素はある」と見る。また、東京オリンピックに関しては、オリンピック工事そのものより、関連施設やそれに伴うインフラ整備など、「ビジネスチャンスと捉えている」と期待を寄せる。しかしながら、労務確保や採算的に厳しいものなど、「施工力を超えたものは追わず、身の丈にあった仕事を」と量的なものより質にこだわりたいとした。

 メガソーラーでは、「依然として需要は落ちていない」とし、本体工事はもとより、関連工事でも同社グループ会社での受注があるため、全体から見ても10%を占めるなど「事業全体でのウエイトも高まりつつある」としながら、今後はグループ全体の力を結集して取り組む必要があるとした。

 一方、依然として好調を維持する海外事業は、ここ数年で売上げ比率25%、利益で30%前後のウエイトを占めている。近年では、アセアン諸国での競争が激化しているが「安定した需要がある」とする。その中でシェアを維持していくためには、国内事業とのバランスをとりながら、「既存の国における競争力、施工力、営業力を高めることだ」とし、「それが当社の強みである」とした。

 また、ミャンマーやインド等における調査、検討は継続しており、市場を見極め、適切な時期に向けて「慎重に準備を進めたい」とした。

 これら国内・海外で事業を展開する上における共通課題である施工力の確保に関しては、「組織の壁を越えた部門間の連携が不可欠」とし、国内各部門の人材の海外派遣をはじめ、部門間での人員派遣や協働など「垣根を越えた取り組みをスムーズに、システマチックに実施したい」と、総合力を生かしたベストミックス体制の構築を目指していくとしている。

(文・渡辺真也)


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