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三井住友建設(株) 執行役員 大阪支店長 毛利俊彦氏  【平成26年04月28日掲載】

コミュニケーション重視で組織力強化

PC橋など得意分野を核に事業展開


 就任にあたっての抱負では、大阪支店のスローガンである「本音が言える、活力あふれる大阪支店」の実現を挙げ、支店長就任時に社員に対して訓示を述べたとする。「社員一人ひとりがコミュニケーションをとり、社員個々の力が上手く組織の力となるようにしたい」とし、そのための雰囲気作り等が自身の役割だと語る。

 そのコミュニケーションの基本として「日頃の挨拶」が重要とする。「挨拶は社会人、人としての基本」であり、このため支店はもとより、作業所においても挨拶を交わすことを奨励。特に建設業においてはチームワークが必要とされ、意思の疎通を図るうえでもコミュニケーションは必要な要素となるが、そのチームワークも上辺だけでなく、お互いの力を認め合ってこそのものとし、「普段しゃべらなくても、いざとなれば団結することが真のチームワーク」。

 昨年から公共投資が増加し、工事量の増大も見込まれる中での事業については、土木では得意分野であるPC橋梁を前面に押し出しながら、これにトンネルを加えた二本柱をその核に据えた事業展開を目指す。また、国土強靱化や老朽化したインフラの維持・保全など、今後も需要が見込まれる分野に関しては「将来的には補修や補強工事も重要なポイントとなることからその動向を睨んでいく」とした。ただ、補修・補強工事の多くは、小規模のもので採算的にも厳しいとしながら「経歴が問われてくる」ことから当面は実績を増やすことが目標とする。

 建築については、「苦戦が続く」との見方を示し、従来からのマンションをはじめ、物流施設や工場等も視野に入れ現状打開を目指しながら、建物建替えやリニューアルにおいても、従来とは違った形のものが出てくる可能性があることから「そういった部分も視野に入れて対応したい」と柔軟な姿勢を見せる。

 東京オリンピックやリニア新幹線など、全社的に工事量や人材が東日本へシフトする中にあって、大阪支店の役割としては「西日本の旗艦支店」と位置付ける。業績も伸び悩んでいたが、今年度から九年ぶりに三井グループの二木会と住友グループの白水会への復帰を果たし、これについては「異業種交流を通して視野を広げ、新たな交流や人とのつながりなど、いろんな面でプラスになる」とし、社員にとってもモチベーション向上につながる「明るい材料となる」と期待を寄せる。

 一方、全国的に労務需給が逼迫する中、復興工事や東京をはじめとする首都圏への人材流出により「大阪でも労務不足が顕在化してきた」と課題を挙げる。労務に関しては、手持ち工事での人材確保に傾注しながら、資材・労務費の高騰にも注意を払う。

 また、技術者等の人材不足は自社の社員にも及んでいる。社員については昨年から新規採用を増やしているが、戦力になるまでの期間は派遣や出向等で手当するとしながら、若者を中心とした現在の業界離れについては「建設業界挙げて建設業の魅力をアピールし、再認識してもらうことが必要だ」とする。

 その建設業の魅力は、「一つのものを作り上げた時の達成感」であり、後世に残る仕事、それにより社会の役に立つ、社会に貢献したという自身の存在価値は「建設業でなければ経験できないもの」だと強調する。

 毛利支店長自身がその体験が刻み込まれた現場として、明石海峡大橋に直結する舞子高架橋上部工事を挙げる。広幅員で国道2号線やJR山陽本線、山陽電鉄を跨ぐ難工事で、「非常に施工条件が厳しかった」と振り返る。また、作業所長時代に手掛けた新名神高速道路では、今も車で通るたびに懐かしさを感じ「これこそ建設業に係わった者しか味わえない醍醐味」とする。

 モットーは、「努力は必ず報われ、手を抜けば必ず自分に帰る」。努力した結果は様々だが、最後には自ら成したことは自らに戻る。趣味はゴルフとジョギング「身体を動かし、汗をかくことが好き」。実家が建設業であったこともあり兄の進めで大学へ進み土木の世界に。ちなみにご兄姉は、男6人女1人の7人兄姉で、自身は下から2番目。自称「七福神」と笑うが、同社にとっての「福の神」となり、打出の小槌を大いに振るってもらいたい。

(渡辺真也)
 
毛利俊彦(もうり・としひこ)
昭和54年3月岡山大学工学部土木工学科卒、同年4月住友建設に入社し、東京支店に勤務、同57年6月大阪支店勤務、平成20年1月同支店土木部長、同24年8月同支店次長、土木部長、同25年4月同支店副支店長・安全環境部長を経て、今年4月から執行役員大阪支店長に。兵庫県出身。59歳。


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