| 日刊建設新聞社 CO−PRESS.COM |
| 万博を大阪の成長につなげていく インフラ整備は建設業界とのタッグで |
![]() |
|
就任にあたっては、「今年は万博イヤーであり、万博は未来社会の実験場でもあることから、都市整備部としても未来に向けた夢を語っていこう」と職員に呼びかけ、また、「万博を一過性のイベントとせず、次にどうつなげていくか。大阪ではIRの開業や、道路や鉄道といった交通インフラの整備に向けても動きがあり、引き続き、大阪の成長につなげていくことが重要だ」とも語った。 |
このような中、万博イヤーを節目として、30年後や50年後といったインフラ整備の将来像を描く「都市整備ビジョン(仮称)」の策定に取り組むとしており、河川や道路、下水などの各マスタープランに「横串」を通す議論を行い、今年度に取りまとめを行う予定だ。 |
ビジョン策定の背景には、前回の万博の時期に、道路等の整備がかなり進められ、大阪の都市骨格が形成されたことや、近年、府の財政状況も好転しつつあることのほか、国の国土強靭化実施中期計画も閣議決定され、事業規模として20兆円強とする事業計画が示されるなど、インフラ整備に対して予算確保を進めやすい状況になってきたことが挙げられるとした。 |
ただ、インフラ整備は息の長いものであることから、「夢を語るにしても少し長いスパンで見ておくことが必要」とし、「長い目で見て、限られた予算の中で何をしておくべきかを考える必要があると思っている」と語る。 |
今年度事業では、淀川左岸線2期、なにわ筋線や大阪モノレール延伸事業など継続事業が中心となる一方で、新たな交通手段として自動運転については「今後、大きな社会変革につながるとして、議論を進めています」と語る。現在、自動運転が行われている万博会場でのシャトルバスについて、万博終了後は南河内でのモデル走行に向けた基盤整備等も進めているとした。 |
災害対応では、木津川・安治川・尻無川の三大水門更新に注力。「これら水門は55年前に整備されたもので、大阪湾において過去最高の潮位を記録した2018年の台風21号では、水門による大阪市内の被害軽減額が約17兆円と試算され、改めてその整備効果と整備の必要性が確認された」と語る。 |
治水事業では、寝屋川流域総合治水事業で地下河川の整備が進められている。大深度地下河川として現在、シールド機の発進に向け、直径34メートル、深さ102メートルの立坑工事が施工中で、地下100メートルの工事は日本では初めて。現在検討されているリニア新幹線や北陸新幹線延伸でも大深度地下構造が検討されており、モデルケースとして注目されていることから、多くの見学者が訪れているとする。 |
また、各地で発生している道路陥没を受け、国土交通省の要請により管径2メートル以上で30年以上経過した下水道管を対象に100キロ以上の調査を実施する。都道府県が設置している流域下水道では大阪府が最も古く、これまでも定期的に調査は実施されている。 |
一方、府営住宅事業では、ストック総合活用計画に基づき計画的に府営住宅の建替えを実施していく。また、カーボンニュートラルに向けた取組として府有建築物におけるZEB化を推進。今年度は西大阪治水事務所でのZEB化改修の実施を予定している。 |
これら事業推進にあたっての課題は、「官民問わず人手不足」と指摘。このため、ICTやDXへの取組みが不可欠になっている。ICT施工については、国が要領化している一三業種すべてを対象工種としており、令和5年度で80件、同6年度で91件を実施。取組みでは、受発注者間でコミュニケーションを取りながら連携・協力して進めており、「旧来の建設業のイメージを払拭することで、人材確保につながれば」と語る。 |
ICTの活用として、遠隔臨場については、令和5年度は約200件、令和6年度も同程度実施しており、施工者からも歓迎されるなど、今後も拡大していくとした。 また、BIM/CIMについては、基本的に大規模案件では設計段階で活用しているものの、「現状は入口段階の状態で、順次拡大を図っていく」とした。 |
一方、働き方改革に関し、現場においては週休2日制とし、受注者の提案により完全週休2日とした場合は工事成績で加点評価しているが、 適切な工期設定や施工の平準化にも引き続き取り組むこととしている。 |
また、庁内においては、職員のエンゲージメント向上も重要だと考え、昨年、部内に働き方改革推進本部を設置。その下にDX部会と働き方改革部会を置き、 行政DXによる業務効率化や、時間外縮減、テレワーク推進といった、職員のウェルビーイングの向上に資する検討を行ってきた。都市整備部全体で議論・取組を行うことで、 昨年1年間で2万4000時間以上の時間外勤務を削減できた。 |
取組みにあたっては、「残業を減らすことが目的ではなく、我々の仕事は次の世代に残っていくもので、それには技術的な担保が必要。都市整備部のベースは技術力であり、 それぞれの技術者が自らの技術力向上のため研鑽等にあてる時間を生み出すため」とした。 |
インフラは整備するより「維持・更新の方が難しい」とし、このため建設業界とは「タッグを組んで取り組んでいきたい」と語る。 印象に残る仕事は「長く携わってきた安威川ダムの現場」を挙げる。座右の銘は、孔子の言葉である自身がされて嫌なことは人にしない「己の欲せざることは人に施すなかれ」。 趣味はB級グルメの食べ歩き。 |
| 〇 |
美馬一浩(みま かずひろ)平成4年京都大学工学部卒、同年4月大阪府採用、同12年4月土木部ダム砂防課主査、同20年4月政策企画部企画室課長補佐、 同27年4月都市整備部事業管理室参事、同29年4月同部河川室河川整備課長、令和2年4月富田林土木事務所長、同3年4月都市整備部事業管理室長、同4年4月同部理事(大阪市建設局理事)、 同5年4月都市整備部技監。58歳。 |
Copyright (C) NIKKAN KENSETSU SHINBUNSHA. All Rights Reserved.
当サイトを利用した結果に関するトラブルなどに関しては、当社としては一切責任をとりかねます。