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連日、多くの来場者で賑わう大阪・関西万博。関西では、万博を契機に社会基盤の拡充を目指し、道路や鉄道等の整備、インフラの老朽化対策や防災・減災対策、国土強靭化等の各施策が進められている。その一方で、それらインフラ整備を担う建設業界では、課題である担い手の確保とともに働き方改革や生産性向上が求められている。こうした中、近畿の建設行政を先導する近畿地方整備局の齋藤博之局長は、事業推進にあたり国土強靱化をはじめとした危機管理、インフラ整備、魅力ある建設業に向けた取組みを挙げる。その齋藤局長に現在の事業状況について聞いた。
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| デジタル化社会を支える社会基盤を整備 道路NT形成や国土強靭化に向けて |
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| 万博を契機に経済活性化と地域振興を |
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■まずは今年度の主な事業への取組みと進捗状況からお聞かせください。 |
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道路関係からですが、分散型国づくりへの転換を図るとともに、デジタル実装した社会を支え、人流・物流の円滑化・活性化を図るため、地域・拠点をつなぐ道路ネットワークの整備を進めています。主な事業では、近畿自動車道紀勢線すさみ串本道路を令和9年夏の開通を目指し、全線にわたって改良・橋梁・トンネル及び舗装工事を進捗しています。
中部縦貫自動車道大野油坂道路では、大野ICから勝原ICが令和5年3月、勝原IC〜九頭竜ICが令和5年10月にそれぞれ開通しており、残る区間の九頭竜IC〜(仮称)油坂出入口については令和11年春の開通を目指し、事業を推進しています。また、今年度から近畿自動車道紀勢線、串本太地道路において用地買収に着手しており、道路ネットワークのミッシングリンク解消に向けて着実に事業を進めています。
さらに地域・拠点の連携確保を図るため、神戸市の三宮周辺において、新たな中・長距離バスターミナル等の交通結節空間を創出する神戸三宮駅交通ターミナル整備事業で、PFI事業の手続きを推進しています。
河川関係では、気候変動の影響による今後の自然災害に備えた足羽川ダムの建設事業、淀川での阪神なんば線淀川橋梁改築事業など、安全・安心を確保するための治水対策事業や砂防施設の整備など、防災対策を中心に進めており、6月1日には大和川遊水地(保田地区)が運用を開始したほか、加古川の滝野地区河川改修事業が今年度の完成に向け着実に進捗しています。
また、水道行政の移管から2年目を迎えていますが、上下水道施設の耐震化・老朽化対策など、安全かつ強靱な上下水道施設の構築にむけた事業体の取り組みに対し、地整としても支援していきます。
港湾関係では、神戸港と大阪港の国際コンテナ戦略港湾「阪神港」で、アジアでの国際基幹航路の寄港地の絞り込みが進む中、船舶の大型化や国際フィーダー航路の増加に対応する、大水深岸壁や荷さばき地等の整備、コンテナターミナル内の施設整備等によるコンテナターミナルの機能強化を図っています。
このうち神戸港ポートアイランド(第2期)地区では、水深15メートルb〜16メートルbの岸壁延長2、200メートルを有する国内最大級の大規模高規格コンテナターミナルの整備に向けて再編整備に取り組みます。一方、大阪港においては、船舶の大型化や取扱貨物量の増大に対応した主航路の大水深化(水深16メートル化)に取り組みます。
これら事業の執行にあたっては、労務費及び資機材が高騰する中、事業進捗を図るため、DX技術などの新しい技術の活用とコスト縮減を図りながら、しっかりと予算確保に努めていきます。 |
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■国土強靱化への取組みに関しては、加速化対策に続く施策として「国土強靱化実施中期計画」が示されました。 |
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近畿地方整備局管内では、南海トラフ地震をはじめ、気候変動に伴う豪雨災害、豪雪災害など様々なリスクが想定されており、常にこれらのリスクと隣り合わせで生活しています。このため近畿地方整備局では、引き続き「流域治水」「道路ネットワーク整備」「老朽化対策・耐震対策」など必要な事前防災や減災等の対策を計画的かつ迅速に推進します。
また、予算の確保も重要です。令和7年6月6日に閣議決定された「第1次国土強靱化実施中期計画」の事業規模は、令和8年から令和12年までの5年間で概ね20兆円強程度を目途とし、今後の資材価格・人件費高騰等の影響については、予算編成過程で適切に反映すると明記されたところです。引き続き、近畿地方整備局として、しっかりと予算を確保していきたいと考えています。 |
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■事業別の取組みでは。 |
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道路では、災害に強い国土幹線道路ネットワークの確保するため、高規格道路の未整備区間の整備及び暫定2車線区間の4車線化、近年の激甚化した災害や新たに把握した災害リスクに対応するため、河川に隣接する道路構造物の流失防止対策、道路橋の耐震補強、道路の法面・盛土の土砂災害防止対策などを進めていきます。また、近年社会問題となっている大雪時の立ち往生車両発生による長時間の滞留を防止するため、除雪機械、消融雪施設、除雪ステーション等の増強・整備や交通障害自動検知システムの導入等を推進していきます。
河川は、これまで、堤防整備や河道掘削等の河川整備に加え、あらゆる関係者が協働して取り組む『流域治水』を進めてきました。今後は、流域治水に水利用や流域環境も加えて一体的な取組を進めることで「水災害による被害の最小化」「水の恵みの最大化」「水でつながる豊かな環境の最大化」を実現させる「流域総合水管理」を推進することとしています。
また、近畿管内では排水機場や樋門・樋管などの主要な河川管理施設の約五割が設置後50年以上経過するなど、老朽化が進行しているため、河川管理施設や砂防施設等の戦略的な維持管理を推進するとともに、ダムの堆砂除去による貯水機能の回復などにも取り組みます。
港湾では、港湾施設の耐震・耐波性能等の強化や港湾における気候変動対策、津波対策、老朽化対策などをしっかりと進めていきます。また、持続的な経済成長を実現するため、発災時にも国際コンテナ戦略港湾を中核とした強靱なサプライチェーンを維持するため、神戸港で大規模地震時における幹線貨物の輸送機能を維持する国際海上コンテナターミナルの耐震化に取り組みます。
津波対策では、和歌山下津港で「粘り強い構造」を導入した防波堤を整備し、和歌山下津港海岸で市街地近傍の港奥部で水門や護岸の整備に取組みます。このほか、令和7年6月4日の「災害対策基本法等の一部を改正する法律」の公布・一部施行を受け、緊急災害対策派遣隊(TEC―FORCE)の増強と行政機関・民間企業・学識者などの専門性を持った多様な主体とのさらなる連携強化により、被災自治体への新たな応援体制を構築していきます。 |
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■大阪・関西万博を契機に経済活性化や地域振興が期待されていますが、その効果を高めるにはインフラ整備が重要で、特に道路や鉄道等の交通アクセス機能の強化は不可欠です。 |
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おっしゃる通り、関西の経済活性化や地域振興を支えていくには、関西都市圏の交通渋滞の緩和を図り、競争力の高い物流ネットワークを構築することが必要と考えています。特に環状道路の整備が重要で、環状道路ネットワークを構成する大阪湾岸道路西伸部、淀川左岸線延伸部、京奈和自動車道の整備を行っています。
このうち、大阪湾岸道路西伸部と淀川左岸線延伸部では橋梁工事や改良工事等を進めており、環状道路の一番外側に位置する京奈和自動車道で、残る区間の大和御所道路と大和北道路の整備を進め、令和八年春には大和御所道路(仮称)橿原JCTの大阪方面接続ランプを開通する予定です。また、環状道路に接続する名神湾岸連絡線についても、令和6年から有料道路事業の合併施行方式を導入し、橋梁予備設計等を推進しているところです。
淀川では、災害時の復旧資材や緊急物資、人員の輸送等を目的とした淀川大堰閘門(淀川ゲートウェイ)や、かわまちづくりと連携した船着場の整備を進め、万博開幕に併せこれらを活用した舟運活性化に取り組んできたほか、万博開催期間中には、十三から万博会場の夢洲を結ぶ航路での人員輸送の社会実験を予定しており、今後も沿川のにぎわい創出にむけた取り組みを推進します。
このほか、大和川の保田遊水地では、平常時には上面をスケート等が楽しめる施設(日本唯一のオーバルトラック)として活用されています。今後も、防災インフラが地域活性化にも活用される取り組みを進めていきます。 |
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関西の成長へ 10プロジェクト推進
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担い手確保、働き方改革、生産性向上 促す
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| 処遇改善、ICT施工、インフラDXなど |
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■近畿圏広域地方計画(関西広域地方計画)に関しても動きがありました。 |
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令和5年7月に第3次国土形成計画(全国計画)が閣議決定されました。これを踏まえ、新たな関西広域地方計画についても令和6年12月27日に「関西広域地方計画 中間とりまとめ(素案)」として公表したところです。
この中では、リニア中央新幹線・北陸新幹線や高速道路の整備促進、港湾・空港の高質化によりシームレスな拠点連結型国土を形成し、全国各地、さらにはアジアとの交流拡大を実現させる「国土軸ネットワークプロジェクト」や、関西の高規格道路・幹線鉄道・海上輸送等のネットワークの形成や機能強化とともに、地域の活性化や暮らしを支援する交通体系の構築を目指す「関西ネットワークプロジェクト」、将来の関西を牽引するライフサイエンス分野等の産業や魅力ある新たな成長産業の形成を推進する「関西成長エンジンプロジェクト」など、関西の活性化に向けた10のプロジェクトを掲げています。今後、令和8年3月頃の国土交通大臣決定・公表に向け、さらに議論を進めていく予定です。 |
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■さて、建設業界では現在、担い手の確保育成が喫緊の課題となっていますが、処遇改善はじめ働き方改革や生産性向上、労働時間短縮等の課題が山積しています。これら課題への取組みについては。 |
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建設業は、平時にはインフラの整備や維持修繕に尽力いただくとともに、災害時には最前線で地域の安全・安心を守っていただいており、住民の生活を守る「地域の守り手」として不可欠な存在です。しかしながら、就業者の減少や高齢化、それに伴う若手入職者の確保や働き方改革への対応など、建設業を取り巻く環境は厳しく、建設業界と対話しながら、様々な課題解決に向けて取り組んでいきたいと考えています。
担い手不足については、建設業に限ったものではありませんが、その中でも、建設業就業者は55歳以上が約4割、29歳以下が約1割となっており、10年後には大量離職が見込まれるなど、他の産業に比べて高齢化がより進行しています。
今後、若手の入職者が見込まれなければ、10年後には建設業従事者が不足する可能性は非常に高いと考えられることからも、担い手確保は喫緊の課題です。若い人材の入職を増やすためには、建設業が製造業など他産業と比べて「給与」が良く、「休暇」が取れ、「希望」が持て、それにプラスして「かっこいい(きれい)」と思われる業界とすることが重要です。
このうち「給与」に関しては、設計労務単価が13年連続で引き上げられており、建設業生産労働者の賃金推移を見ても賃金は着実に上昇しています。今後、品確法の改定に基づき、下請業者への賃金の支払いや適正な労働時間確保に関して、その実態把握に努めていくこととしています。
「休暇」については、週休2日の取り組みを進めてきましたが、直轄工事においては令和7年度から、維持工事等を除く全工事を対象に、土日を現場閉所とする「完全週休2日」を実施する予定であり、さらに、本官工事については、祝日も加えた現場閉所とすることとしています。また、近畿地方整備局管内の取組では、2府5県4政令市において、令和6年6月より、毎月第2・第4土曜日に公共工事の建設現場を一斉閉所する取組を実施しており、令和7年度からは市町村等を含め104機関まで実施機関が拡大しています。
「希望」に寄与する取り組みとしては、i―Constructionの推進、BIM/CIM、プレキャスト化の推進、遠隔臨場・検査、無人化施工等のインフラDXとその人材育成など「生産性向上」に取り組んでいます。令和7年度から、40歳以下の技術者で優秀な成績を修めた者を表彰する若手技術者表彰を創設し、令和8年度から表彰することとしています。 |
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■なるほど。 |
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| 官民連携した課題解決 業界全体で魅力発信を |
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働き方改革では、業務の効率化や書類の削減・簡素化を推進することが重要と考えています。近畿地方整備局では「書類の簡素化」を目的とした「土木工事書類作成スリム化ガイド」や、工事の変更や中止といった場面で受発注者が適切な役割分担で工事を円滑に進めるための「受発注者コミュニケーションガイド」を作成しており、建設業界や現場の声を聞きながら、随時、改訂をしています。
時間外労働規制に関しては、令和6年3月に民間工事も含めた受発注者が考慮すべき「工期に関する基準」の改定があったところです。国土交通省では「工期に関する基準」の周知と徹底に取り組んでいますが、こうした取組を制度面から後押しするため、令和6年6月に成立した改正建設業法では、長時間労働につながる著しく短い工期での契約締結を受注者側にも禁止し、工期の適正化を図ることとしています。
また、令和6年9月には、労働局や自治体等と連名で、発注者団体等に対し適正な工期設定及び働き方改革の推進に関する要請を行っています。近畿地方整備局としても、これらの規定や働きかけの実効性を担保するため、適正な工期設定を妨げる事案に対しては、建設Gメン等による調査を行い、改善指導等を通じて取引の適正化に取り組んで参ります。 |
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■生産性向上の取組みでは。 |
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建設業界は、担い手不足や技術者の高齢化といった課題に対しては、生産性を向上させるICT施工の推進が必要です。ICT施工は、ドローンなどによる3次元起工測量、3次元設計データ作成、ICT建設機械による施工、3次元出来形管理等の施工管理、3次元データの納品の各々で多岐にわたる技術を統合し、生産性の向上、品質の均一化、安全性の確保を行なっています。
これらのICT施工を地方自治体などに浸透させるためには、ICT施工に関する理解の促進とデジタル技術が活用できる人材の育成が必要で、人材育成の取り組みとして近畿地方整備局では、大阪府枚方市の近畿技術事務所の構内に近畿インフラDXセンターを開設し、UAVやTLSなどを用いた測量技術やICT建設機械を用いたICT施工など体験型の実務研修を通じ、ICT施工に関する理解の促進やデジタル技術を活用できる人材育成に取り組んでいます。
さらに、ICT施工を含めたi―Constructionの取組を円滑かつ効果的に国・地方自治体及び業団体へ推進・普及するため、近畿インフラDX推進連絡会議を開催し、産官の取組紹介や人材育成支援などの情報交換を行うことで、ICT施工の普及促進に取り組んでいます。 |
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■これら施策を進めていく上で、建設業界が担う役割についての意見や要望、期待する部分がありましたら。 |
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建設業界は、社会資本整備を担い、災害時の地域の守り手として大変重要な存在です。全国的に災害が頻発する中、災害から迅速かつ円滑な復旧・復興のため、災害時の緊急対応のさらなる充実・強化が急務と考えており、災害からの迅速な復旧・復興に資する事業のために必要な能力を有する民間事業者と地域の民間事業者との連携及び協力が不可欠で、今後もますます官民の連携が必要になってくると考えており、建設業界と対話しながら、様々な課題解決に向けて取り組んでいきたいと考えています。
また、建設業界全体として若い世代に積極的に参画してもらい、社会資本を構築・維持管理する仕事の本質的な魅力を理解してもらうことが何より重要と考えており、より多くの人にこの分野に関心を持っていただき、長く活躍してもらえるような環境づくりが必要だと感じています。 |
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■これからも各事業と施策の推進にご尽力下さい。ありがとうございました。 |
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