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    令和8年新春特集号対談       【2026年01月05日掲載】
   
    特別対談
 馬場伸幸衆議院議員×橋爪紳也大阪公立大学特別教授
   
2026起点 南大阪を国際観光地へ
創生首長会議 泉州・南河内22市町村活性化めざし連携



橋爪特別教授 馬場衆議院議員





 日本政府は2030年に訪日外国旅行者数6000万人という目標を掲げている。これは2024年度実績比で約1・6倍にあたり、各地域においてもインバウンドのすさまじい増加に備えた取組みが求められる。
 そのような中、関西国際空港を擁する南大阪エリアでは、昨年の関空の容量拡張を絶好のチャンスと捉え、大和川以南、22市町村の首長が一致結束し、活性化に向けて議論する「南大阪創生首長会議(仮称)」の設立準備が進められている。
 そこで今回、地元である堺市選出の馬場伸幸衆議院議員(日本維新の会顧問)と、大阪府・大阪市特別顧問を務める橋爪紳也大阪公立大学特別教授に、南大阪における観光振興の方向性などについて語り合っていただいた。

     関空容量拡張、絶好の機会
橋爪

 大阪・関西万博の開催という特別な1年を終え、新しい年を迎えました。

馬場

 みなさんのお陰で大きな事故もなくやり遂げることができました。ありがとうございます。先生にも多大なご尽力をいただきました。

橋爪

 来場者に満足していただき、国際化に向けたレガシーを後世に残すことが本来の開催目的です。その点では無事成功したといえます。

馬場

 今後、万博跡地では民間の力によって夢や希望のあるプロジェクトが進んでいく。一番の万博レガシーとなるでしょう。また、万博会場においては様々な最先端術が披露されました。これらの技術を実装・産業化して経済成長につなげられるよう、行政もサポートしていかなければなりません。
 2030年には大阪IRも開業する予定です。IRと万博跡地を両輪とし、世界中から多くの人が訪れる観光拠点になることを願っています。

橋爪

 夢洲を軸に国際観光が大阪を支える新たな基幹産業の一つとなり、もう一つはライフサイエンスや医療など万博のレガシーを活かした分野が大阪経済をけん引する。そんな将来像ですね。
 さて本題に入りましょう。馬場先生が注力されている南大阪地域(泉州・南河内)の産業振興を中心にお話をお聞かせください。

馬場

 昨年春に関空の年間発着回数の上限が年間23万回から30万回に引き上げられました。長らく「大阪は北高南低だ」と言われ続けてきましたが、いよいよ、大阪全体として南大阪の活性化に取り組む絶好の機会がやってきたと捉えています。

橋爪

 IR開業を踏まえると、1994年の関空開港、2007年の第2滑走路供用をはるかにしのぐ好機になるかもしれない。
 政府は2030年に訪日外国旅行者数6000万人(2024年実績3700万人)、消費額15兆円(同8兆円)という目標を掲げています。世界的には2024年度で、首位のフランスが年間1億人超、2位のスペインが9400万人。日本は10位ですが、より上位をめざしています。
 いっぽう陸続きの欧州とは違って、日本は島国です。だから「どの空港がどれだけ多く受け入れられるか」がインバウンド誘客における一番のポイントであり、まさに関空が核となります。

馬場

 関空を最大限に活用するためには、まずはインバウンドの受け皿づくりが不可欠。たとえば、関空からほど近い場所に滞在型リゾート施設といった大型プロジェクトをぜひ誘致したいですね。実際、南大阪の地価は東京に比べてかなり割安感があることから、関東系デベロッパーも関心を示し始めています。

橋爪

 私は講演会などで「2030年の状況は今の続きではない」と常々申し上げています。想像もできないペースで変わっていく。インバウンド6000万人時代に備え、南大阪全体としてもプランを立てておかないといけない。具体的に「どの国の人をどう楽しませるのか」。そこを明確にして受け入れ施設を検討することが求められます。

馬場

 さらに大局的・長期的には、あまりこういう言葉は使いませんが、私は南関西エリア、すなわち南大阪から奈良、和歌山へと観光客が流れていく仕組みが必要だと考えています。エリア一円に世界に誇れる豊富な観光資源が存在するわけですから。

橋爪

 南大阪で連泊して奈良や和歌山に向かう滞在型の観光ですね。ぜひ実現させてほしい。
 ところで、南大阪の活性化をめざし、「南大阪創生首長会議」(以下、首長会議)の設立に向けて準備を進めていると伺っておりますが、その背景や目的などについて教えてください。

馬場

 首長会議には大和川以南の自治体、22市町村すべての首長が参加しています。
 これまで南大阪では、スポット的な自治体間連携はあったものの、組織立った動きではなく、ましてや泉州と南河内の首長が一堂に会し、振興策を話し合う場などほとんどありません。
 今回、首長会議の設立により、22市町村長みんなで、南大阪全体を活気づけるべく、ガンガン議論することができる。またそれが、日本における統治機構改革にもつながる。すなわち、相互に補完し合い、財源を持つ会議体にしていく。なぜなら、小規模な自治体ほど財政規模も小さい。インフラ整備も不十分なうえアイデアを思いついても実行はままならない。従って大阪府にも財源を含めた協力を要請しています。
 昨年8月には大阪商工会議所と官民連携で合意しました。今後は産官学でしっかりスクラムを組み、エリア全体の活性化を図る活動を強力に推進していきます。

    第2国土軸見据える  奈良・和歌山めぐるルート構築も
橋爪

 首長会議の主要テーマについては。

馬場

 基本的には観光・文化産業の振興です。あわせて、そのための交通インフラの整備も必要になるでしょう。

橋爪

 京奈和自動車道の全線開通を見据えつつ、南大阪・奈良・和歌山連携といった大きな観光ルートを提案できれば、本来の第2国土軸構想も視野に入ってきますね。

馬場

 おっしゃる通り。将来、南関西という広範囲にわたる観光振興の動きが勢いづけば、第2国土軸の一翼を担う「紀淡連絡道路」(和歌山市〜洲本市)の必要性も高まってくる。現在は事実上凍結されていますが、大阪湾を囲む環状道路ネットワーク形成にもつながるため、何とか事業化のメドをつけたい。

橋爪

 かつて関空開港を控え、大阪湾臨海地域開発整備法(1992年)が施行され、大阪湾ベイエリアの開発構想が示されました。南大阪、特に泉州活性化のためには、この構想を約30年ぶりに上書きし、もっと広域での大阪湾連携を促していく必要があります。そのうえで堺市から関空、さらには岬町までのエリアにもう一度手を入れ、リゾート開発などにきっちり取り組むべきです。

馬場

 泉州沖に沈む夕日はすごくきれいですし、海の幸も豊富ですからね。しかも泉州ベイエリアには、高石の大阪府立臨海スポーツセンターや岸和田の木材コンビナート貯木場など、観光開発に適した大規模用地がいくつかあるんですよ。

     ベンチマークは淡路島
橋爪

 私は2年前のフォーラムで「泉州は淡路島をベンチマークにせよ」と提言しました。なぜか。淡路島の名産品であるシラス、ハモ、ワタリガニ、タコ。これらはすべて大阪湾で水揚げされるもので、泉州の名産でもあるからです。また、今や全国ブランドの「淡路島玉ねぎ」はもともと泉州から伝わった。淡路島西海岸の名物「最高の夕日」は泉州でも眺めることができます。

馬場

 ブランド戦略というのは本当に大事ですよね。泉州においては、貝塚の水ナスや岸和田の桃は上手くブランド化できているのではないでしょうか。

橋爪

 貝塚の水ナスは全国区になり、近所のスーパーで誰でも簡単に手に入ります。しかし、だからこそ、「本物の水ナスはわざわざ貝塚に足を運ばないと食べられない」という仕掛けづくりが必須です。個人的には、岸和田だんじり祭りで振る舞うワタリガニなんて極めてユニークで、無茶苦茶おいしい。もっと売り込まないといけない。

   その土地にこそ最高の食材を  世界で進む「美食都市づくり」
馬場

 なるほど。全国に販売するだけでなく、地域そのものの付加価値を高めるために食材を活かす。もっと工夫の余地があるのかもしれません。

橋爪

 やはり、その土地にこそ最もおいしい食材があり、それを上手く活かすトップシェフがその土地にいる。世界の観光地においてはそんな「美食都市づくり」があちこちで進められています。

馬場

 私の地元である堺市にも、特別きれいなわけではありませんが、名店と称される料理屋さんがたくさんあります。そのような店と観光をつないでいく。とても興味深い話です。何より、おいしい食べ物は誰にとっても魅力がありますから。

橋爪

 そうです。まずは食です。

馬場

 堺市の場合は特に食と歴史でしょうね。堺市というのは旧石器時代から現代まで歴史がつながっている全国的にも非常にユニークな自治体です。その歴史・文化に食を絡めていく。面白くなりそうです。

   三度目の正直、頼もしい首長
橋爪

 淡路島では現在、南あわじ市長を旗振り役に「世界一の美食の島にしよう」と盛り上がっています。
 パソナさんが農業分野で淡路島に進出したのが2005年頃。それから20年ほどで淡路島は様変わりしました。リゾート開発、観光開発を成功させ、ブランドを確立。社会増により島全体の人口も増えつつあります。
きっと泉州・南河内にもガラッと変わるチャンスがくるはずで、それが今だと。ぜひとも南大阪全体のブランディングを実施し、2026年を国際観光地へと変わるきっかけになる年にしましょう。

馬場

 はい。ともに頑張りましょう。文字通り3度目の正直。これがラストチャンスと覚悟を決めて最大の追い風に乗らないといけない。
 幸い、南大阪には斬新なアイデアと柔軟な発想を持ち、行動力もある首長さんがたくさんいて頼もしい。まだまだ成長のポテンシャルはありますよ。

 
 


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